OPEN STORAGE 2014

2014.11.8 [sat] - 24 [mon] 13:00-19:00

2014年11月8日(土)より、9日間に渡る展覧会「Open Storage 2014-見せる収蔵庫-」を開催しました。おおさか創造千島財団が所有する鋼材加工工場・倉庫跡の空間を活かし、現代美術作家の大型作品を保管・展示する「MASK (MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)」に、これまで収蔵してきた作品群をお披露目する、初めての一般公開となりました。
北加賀屋に誕生した既存の枠組みを超越した実験場として、大型美術作品の保管・収蔵のみならず、年に1度の公開を継続します。

無料
参加アーティスト
宇治野宗輝 /金氏徹平/久保田弘成/やなぎみわ/ヤノベケンジ

主催/企画: 一般財団法人おおさか創造千島財団
企画協力・キュレーター: 木ノ下智恵子(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任准教授)
協力:京都造形芸術大学ウルトラファクトリー、ShugoArts、山本現代 
後援: PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015
 

OPEN STORAGE 2014

CONCEPT

“芸術の超越力を魅せる収蔵庫”
プロローグ

かつて、重厚長大産業の集積地へと発展を遂げ、高度経済成長の終焉期からはエレクトロニクスやソフトウエアなどの軽薄短小産業へのシフトに伴い、その隆盛が衰退してもなお、工業地帯の原風景が芸術の創造力を刺激する“北加賀屋”。時代の変遷を物語るこの地において、本格的な“魅せる収蔵庫”のプロジェクトが始動する。

国内外の芸術環境は、国際展やアートプロジェクトなどの発表機会が盛んになる一方で、その制作環境や発表後の作品保管の課題は大きい。展覧会では、作品の現代性による理由だけではなく、輸送や設置コスト面でポータブル化が可能な映像作品が台頭し、その場限りの作品や事後の破棄を余儀なくされる事例も少なくない。さらに若手アーティストの公募展や企画展では、重厚長大な彫刻・立体作品は希有であり、制作技術も衰退を見せ始めている。特に日本においては、重厚長大な彫刻や複雑な構造の“スカラプチャー”や“インスタレーション”は、絶滅危惧種的存在であるといっても過言ではない。

他方、企業のコアビジネスにおけるデータ量の増加に伴い、保存環境のコスト削減が重要課題とされる現代においては、 “開かれた外部記憶装置”を意味する“オープン・ストレージ”のシステムが開発された。また、美術界では同じ言葉を用いて、収蔵庫のコレクションを研究・鑑賞などの目的で限定的に公開する施設やシステムがある。ただし、日本においては大型の彫刻作品やインスタレーションの“オープン・ストレージ”は皆無に等しい。

奇しくも、時代の最先端をいく軽薄短小産業のIT業界の“外部記憶装置”と、 “重厚長大型作品の収蔵と公開”という2つの意味を孕む、重工業地帯における “オープン・ストレージ”では、近現代の時代的考察や社会的課題についても独自の哲学をもち、彫刻作品の概念を拡張するアーティストと共に、 “芸術の超越力を魅せるプロジェクト”を推進する。そして、北加賀屋の場所性・歴史・環境と呼応しつつも、“特異な場所の機能”を批評的に捉えた先駆的取組みとして、時間を重ねていきたいと考える。この試みの重層によって、本拠が、古い過去の文脈や価値観を新しい視座で見つめ直し、さまざまな“既存”を超越するアートの力を象徴する、恒常的な磁場となり得ると、信じてやまない。

本企画キュレーター 木ノ下智恵子
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任准教授)

OPEN STORAGE 2014
ARTIST

メインアーティスト
宇治野宗輝/金氏徹平/久保田弘成/やなぎみわ/ヤノベケンジ

近年では、数多くの大規模な展覧会やアートイベントが開催され、アーティストが大型作品を発表する機会が増えています。その一方、広い制作場所の確保が難しく、作品の縮小、会期終了後の解体や廃棄を余儀なくされるといった、アーティストが直面する創造環境面での課題があります。
 このような状況に一石を投じ、大阪の創造環境の向上に寄与したいとの思いから、約1,000㎡の工場・倉庫跡を、大型作品を無償で保管・展示する「MASK (MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)」へ再生する構想が2012年に始動しました。

本展のタイトルである「オープン・ストレージ」とは、ミュージアムが展示しきれない膨大なコレクションを研究や鑑賞などの目的で限定的に公開する施設や鑑賞ツアーなど、欧米で始められた取り組みで、日本では、大型の現代美術作品の「オープン・ストレージ」は、ほぼ前例がないと言えます。
 この度の一般公開では、国際的に活躍する現代美術作家5名の大型立体作品を展示。会期中には、本会場のスケール感を活かした新作公開制作や、展示作品関連のパフォーマンス、併設のホワイトキューブにおける各作家の関連展示なども展開しました。

宇治野宗輝
《 THE BALLAD OF EXTENDED BACKYARD (car section) 》
金氏徹平
《 Splash and Flake(Pipeline/Kitakagaya) 》 ※2014年11月、MASKにて滞在制作
久保田弘成
《 大阪廻船 》
やなぎみわ
《 『日輪の翼』上演のための移動舞台車 》
ヤノベケンジ
《ジャイアント・トらやん》 《ラッキードラゴン》 《サン・チャイルド》

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